恋というのは、もっと楽しいものだと思っていた。
こんなにも苦しいのなら、恋なんてしなければよかった。
叶う希望なんか一ミリもない。
なら、お願いだから、
そんな屈託のない笑顔を向けないでくれ。
親友だよな、って微笑まれることがこんなにも苦しいなんて思いもしなかったんだ。
避けるような態度を取ればいいのかもしれないが、理由を知らないあいつはまた無邪気な傷ついた顔で仲直りしようって突っかかってくる。
好きなのにこれ以上進めやない。
離れられもしない。
こんな恋、いらなかった。
海へ、海へと進んでいく電車に揺られる。
この電車に自分の恋情を乗せて、無理やりあいつから引き離してくれればいいのに。
まあ、できないから海へと向かっているのだけど。
電車から下りて、ざくと砂浜に足跡を残して海へ海へと歩いていった。
きっとこれで終わりにできる。
じゃあな、死ねるくらいには好きだった。
死なないといけないくらいには好きだったんだよ。
届きやしない想いと共にからだを海に沈めた、最期のこと。
─海へ─ #42
8/23/2024, 1:10:41 PM