世界が滅びで灰となれど、
この眼に焼きついた過去は鮮やかなまま。
齢と共にたとえ煤けようと、
この魂は老いさらばえて尚も燃える。
躰が土に還る定めにあろうと、
この心は天藍の彼方へと運ばれる。
そして語る者が皆、この世から消えたとき、
我々は見守ることしかできなくなる。
然すれば汝らこの炎を与えん。
かつてを生きた私たちの証を残したまえ。
後世は、過去にあった恐怖を書物でしか知り得ない。
人が作った記録からでは、実態がいかなるかを味わえない。
しかし、私はそれでも構わない。平和とは、無痛のままで恐怖を知れる利だ。愚かしいのは、「あったこと」を無にすることだ。
後世に残せ。忘れるな。
人は過ちを繰り返す生き物。
そのための知であり、そのための和だ。
もう世界を灰で染めてはならない。
麗らかな恵みを広げるために、炎を守りたまえ。
【記録】
2/26/2025, 12:26:31 PM