「ひとつ思ったんだけどさ⋯⋯⋯⋯」
僕の演奏を聴いていた彼女が口を開いた。
「なんだい?」
「これがあったら何でもできる、みたいなのってあるの?」
「愛だよ」
そう答えたら彼女は黙った後、言った。
「は?」
「え?」
「は?」
「⋯⋯⋯⋯どうしたの?」
「いや、意味わかんない。愛があったら何でもできる? え、え??」
彼女は首を傾げながら呆れたように言った。
「⋯⋯できない?」
「できないことだってあるでしょ」
「例えば?」
「⋯⋯⋯⋯ん〜、この世界からの脱出?」
「できるよ、君への愛があれば」
「⋯⋯は!?!?」
顔を真っ赤にして動揺する彼女。可愛いな、なんて思った。
「な、何それ!? 意味わかんないんだけど!?」
僕は立ち上がって権力者の手を取って目線を合わせながら言った。
「できるよ。愛さえあればね」
「な、なにそれ⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
僕の気迫に押されたのか、若干仰け反りながら君は言った。
5/16/2024, 3:47:59 PM