紅華

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「結婚することになったんだ」

ずっと思いを馳せていた君からそんな言葉を聞かされた。
一瞬、頭が働かなくなったけどすぐに笑顔を作ってみせる。

「そうなんだ。おめでとう! いやぁ、結婚とはビックリだね……で、いつ式をあげるの? お祝いしなきゃね!」
「ありがとう。これもミサのおかげだよ。あの子に会わせてくれてありがとう」

そう、あの子を会わせたのは私だ。
君と私は幼稚園の頃からの幼馴染。そしてーー片思いであり、初恋の人。
好きな人が幸せになってくれるのは嬉しい。
だけど、それと同時に汚い感情も湧き出てくる。
その汚い感情を殺すため、私は笑顔で祝福の言葉を告げる。

「じゃあ、結婚式の日が決まったら教えるね」

君はそう言って、あの子の元へ帰って行く。

手を振って「またね」と送る。

本当は行かないで欲しい。

そばにいてほしい。

だけど、割り切らないといけない。

割り切らないといけないのに……どうして?

「どうして……泣いちゃうんだろうなぁ」


大好きだったよ。ずっと前からーー

3/6/2024, 8:35:22 AM