「明日にはあなたに振られているかもしれない」交際当初に彼が口にしたその言葉を、いつまで経っても忘れられずにいた。気が急いてあれこれ画策する自分を窘めるための、おそらく彼なりの冗談だ。けれど何だか無性に寂しくて、呆れられるくらいまめに連絡を取って次の日その次の日へと繋いできた。だから「新しいパン屋の視察に行きたい」「観たい映画があるけど一緒にどうか」なんて話してくれると、いつも内心泣きそうなほど嬉しくなる。もう月日が経って同棲までしているのだけど。愛する人に未来を信じてもらえることが、こんなに嬉しいものだとは思わなかった。たとえ他愛のない、ほんの少し先の未来であったとしても。
(題:また明日)
5/23/2024, 8:39:11 AM