人に甘えられる体温。
人に移せられる熱温。
平熱が恋しくなる苦しみもあれば、いっそ高熱になってほしい心地よさもある。
けれども、私は微熱さえも休養を許さぬ社会に慣れてしまった。
胃酸でしか溶けない風邪薬で、ひたすらに微かな熱の火元を消している。
微熱だった時の体温も熱温も、気がつけば副作用で記憶から消え去った。
人に甘えたり移したりできる熱を忘れた私に、人肌の温もりは残っているだろうか。
何年も誰の手にも当てられていない額は、ただただ無機質に青白いだけだ。
(241126 微熱)
11/26/2024, 1:05:33 PM