nil

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その双眸越しに、己の過去を見ている。


まるでわたしが水子に成り損なったのを、

見抜かれているような、
指摘されているような、

酷く懐かしく、心が騒がしくなるその瞳に

逃れるように、口を開いた。

これは零からの、0からの、nilからの、
無に成る筈だったわたしからの、

音のない






り。





《0からの》

2/22/2023, 7:15:31 AM