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もしも君が


もしも
誰かを好きになったら 
世界が変わって見えるのかしら

もしも
だれかを愛していたら
夢のような日々に見えるのかしら

もしも
だれかを嫌いになったら
世界は醜く変わるのかしら

もしも
誰かに憎まれたのなら
世界を壊してしまうのかしら

いくつものもしもの中で僕たちは生きてる
いくつものもしもが繋がっていて
みんな自分のもしもだけで生きている

ひとりぼっちのもしもの世界
無限大の白紙の可能性は
きっと誰かを幸せにしていつか誰かを不幸にする

一枚の白紙の画用紙が
大きな絵画のたった一枚のピースにみえて
世界はそんな一枚一枚が作り上げてるんだ。

『もしも君が』
『なに?』

視線を上げた先にあるキョトンとした瞳がこちらを見る。

『もしも君が嫌な奴だったら世界は
どうなってたのかなぁ』

片眉をあげて怪訝な顔をした君は、わかりやすく眉を思いっきり顰めて顎に手を当てて考えたフリをする。
僕の突拍子もない戯言に真摯に向き合う君はどこまで行ってもお人よしだ。

『まぁ、僕が嫌な奴だったら』
少し考えてからニヤリと笑う。
イタズラを考えついた子供みたいに。

『世界を征服してやろうかな』

ガハハと笑う顔を、今度は逆に僕がキョトンとした顔で見上げる番だった。

あぁ、でも。

『もしも、君が嫌な奴なら』
僕は眉を下げて笑う。

僕は少し世界を好きになれそうな気がするんだ。

6/15/2025, 12:37:12 AM