ストック

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Theme:あなたと私

何もかも正反対な、あなたと私。
「足して2で割ったらちょうどいいかもね」なんて笑い合っていたときもあったっけ。

当然のことかもしれないけれど、あなたと私は違う道を選んだ。
道を踏み外しつつある祖国に対し、あなたは剣を向け、私は祖国の盾となった。
あなたは持ち前の情熱と弁舌で仲間を増やし、私は持ち前の冷静さと沈黙で祖国が滅びに向かっていく様を見ていた。

赤く濡れた剣を拭い、あなたは私に激しく問う。
「お前は俺よりとっくに早くこの国の歪みに気づいていたはずなのに、どうして留まったんだ?」
赤く染まった床に横たわったまま、私は静かにあなたに答えた。
「私はあなたのように勇敢じゃなかったから、祖国を捨てられなかった。中から国を変えたかった」

なんだ、結局はおんなじことを考えていたんじゃないか。方法が反対だっただけでさ。
そう呟いて涙を流すあなたに、私は微笑んだ。

11/7/2023, 12:29:19 PM