終点
早朝。
まだ薄暗い中,住宅地を歩いていく。
最寄駅には五分で到着し,いつもの顔馴染みの他者と一緒に始発の電
車を待っている。
朝霧を照らすように電車が到着し,空いている電車の座席に座り,終
点まで電車に乗っていく。
それは僅か十分にも満たない時間だ。
しかし,それが至福の時間であり,心を落ち着かせてくれる。
まるで山荘で鳥の囀りを聞いたり,コンサート会場でクラシックでも
聴いたりしているかのようである。
これから次第に明るくなり,大都会の真っ只中で頭脳も肉体も酷使す
る壮絶なる戦いが始まる。
嵐の前の静けさだが,それこそが僕の心を安定させるのに重要なので
ある。
8/10/2024, 11:09:02 AM