君の目を見つめると、今にも泣き出しそうな顔をした自分が映っていた。
「泣かないって決めたんじゃないの?」
くしゃりと目を細めて笑う君にもどこか寂しさが垣間見えて、また目元が熱くなるのを感じた。
「ずっと会えないわけじゃないんだから」
「そ、うだけど…」
とうとう視界いっぱいが滲んでしまい、奥歯を噛みしめて俯くと、足先に小さなシミを作った。
駅のホームからアナウンスが流れる。
「じゃあ、次ので行かなきゃ」
元気でね、と君が寂しさを隠さないまま笑った気がして顔を上げた。案の定そこには、想像と同じ顔をした君がいて、引きつる喉を押さえ込んで声を出した。
「絶対に、また、会おう、ね、」
「…うん」
電車がゆっくりと止まり、君が乗り込み振り返った。
「おかげで楽しい学生生活だったよ、ありがとう」
ドアが閉まると同時に、扉越しの君の瞳が溢れた。
電車が走り出すと、脱力感から膝が震え近くのベンチに腰掛けた。
これでもう終わりか…と君との日々を思い出しながら、空を見上げた。
春がそこまで来ていた。
4/6/2024, 3:22:57 PM