わをん

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『生きる意味』

テレビの向こうで同い年の人たちが活躍している。自分と同じ年月を生きているのに自分と何が違うのだろうと羨ましさ半分妬ましさ半分の目で見てしまう。意識的にあるいは無意識的に無数にあった選択肢を選び続けてきた結果が今なのだとしたら選択の機会が不公平だと思ってしまう。
「私の今がなんか冴えないのはぜんぶ神様のせいじゃないですか?」
テレビの街頭インタビューをたまたま目にしていたらそんな事をいう人がいた。頭の悪そうな答え方に薄ら笑いの気持ち悪い表情。端的に言ってくそダサい。けれど自分が言葉にせずとも薄々思っていた答えとまるで同じで、まるで自分が映されているかのようだった。
自分のせいだと思いたくないけれどすべて自分のせいだと結果が物を言っている。テレビやラジオやネットの向こうが輝いて見えるのは自分が輝いていないからだった。
こんな自分に生きる意味があるだろうか。誰かにあると言ってほしいけれど言ってくれる人はおそらく自分しかいない。誰かに殴られてでも励ましてほしいけれど叱ってくれる人もおそらく自分しかいない。
「せいっ!」
自分で自分に平手を打つと、思っていたより痛かった。痛みとともにぼんやりと思う。まずは先ほど見かけたくそダサい人間から卒業したい。
「早く人間になりたいなぁ」
道のりは遠そうだ。のろまな亀が歩み始めるイメージが頭をよぎった。

4/28/2024, 1:05:57 AM