霧夜

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戸棚の奥から、お気に入りの茶葉を取りだして
沸かしたお湯を、ティーポットの中に注ぐ
いい香りがしてきたら、少しの間蒸して置いて
その間に、色鮮やかなクッキーを、お皿に盛りつけようか

あとは、二つのカップに紅茶をゆっくり注ごう
ほら、ふわりと優しい香りが、してきたでしょう?

さぁ、準備は出来た。
今から、二人だけのお茶会を始めようか。

--二作目--

休日の、少しだけ早い朝の時間。
そんな朝に、あいつは決まって紅茶を淹れてくれた。

優しい花の香りが、まるで部屋全体を包み込むように、ふわりと香る。
そんな匂いを堪能しながら、紅茶に口をつければ、少し冷えた身体を優しく暖めてくれる。
ふぅ、と小さく吐息を漏らすと、あいつはいつもふっと笑う。

「お気に召してくれた様で何よりだ」

そう言いながら、あいつも紅茶に口ずけて、同じく吐息を漏らす。
それに釣られるように、俺もクスリと笑いを零す。

こんな、何気ない休日の一時。
紅茶の香りに包まれながら、そんな小さな幸せを噛み締める


#紅茶の香り
102作目

10/27/2023, 11:34:21 AM