遠くの街へ
ここから、ずーっと遠くの街へ
飛んでいきたい、あの街へ私の生まれた故郷へ
そして消えたい、あの場所で
思い出詰まった、あの場所で…
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「帰病ですね」
医者はいう。
目の前の親は泣き崩れた。
しかし、隣にいる子供は虚ろな目をして、「帰らなきゃ…」と、呟いている。
帰病(キビョウ)2200年に現れた精神的な病気
心が傷つき、追い詰められた人に発症し、「どこか(自分が思う故郷だと考えられている)」に行って死にたいと思い、彷徨う病気である。
人に感染するようなものではないが、帰病にかかった人と関わりを持っていた人は、その事実が精神にダメージを与え、帰病にかかる確率が大幅に高くなる。
食事をすることがなくなり、栄養失調、または餓死により死んでしまう。また、家から出た帰病の人が山の中で落下死しているところも発見されている。
今のところ治療方はなく、治らなければ確実に死んでしまうため「不治の病」として、人類を脅かしていた
2/29/2024, 3:42:11 AM