七汐

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いつもの電車
いつも見かける隣の学校のあいつ
名前は知らない

いつもは話しかけるなんてしないのに、何故か今日は話しかけた。
いつもと違う行動。
話してみれば案外気が会って、



「あー学校行きたくねー」
「受験受験ってまだ俺ら2年だぜ?」
「「サボっちゃう?」」

そんな会話から始まった海への逃避行。
行くあてもなく、終点が海の近くだからというだけで行き先が決まった。



いつも降りる駅を通り越し、見たことの無い橋を渡り、見たことの無い看板を見て、一面緑の田んぼを見て、海が見えた。

駅から出ると真っ青な水面が光っていた。
2人して靴と靴下を脱ぎ、ズボンを捲り、ざぶざぶ海へ入っていった。



散々遊んで疲れた僕らは帰りすっかり寝てしまった。
先に眠ったこいつの頭の重さを肩に感じながら

「もう話すことは無いんだろうなあ」
と夢現で思った。



『海へ』

8/23/2024, 9:22:15 PM