お題『愛を注いで』
毎月第3日曜日は商店街で町内バザーが開催されている。
祖父と祖母そして私(わたくし)の3人家族は毎月それに
出品側として参加していた。出品目は祖父が作った季節の野菜だ。小規模な畑で作る為数に限りはあるし、形が歪な物もあるのだが、それなりに人気があるようだ。
来場者は近所の人が多く、他県の人が来ることは滅多にない。
近所の人A「今月は何がおすすめですか?」
祖父「葉にんじんとトマトです」
近所の人A「じゃあ、それをいただくわ」
祖父「ありがとうございます。葉にんじんは1袋売りになりますが、よろしいですか?」
近所の人A「えぇ。良いですよ。あ、トマトは3つお願いします」
祖父「わかりました。袋詰めを致しますので、先に隣でお会計をお願いします」
近所の人Aは祖父の隣に立つ委員長に向かう。
祖父の後ろで祖母は手際よく野菜を袋つめしていく。
会計が終わった頃合いを見て、祖母は近所の人Aに袋を手渡す。
近所の人A「ありがとう。私ね、毎月、秋更(あきざら)さんの作るお野菜楽しみしてるの。また来るわね〜」
祖父「ありがとうございます。こちらもお待ちしております」
祖父は一礼した。商社で営業職に長年勤めていた祖父は退職した今でもバザーの時は昔を思い出し積極的に接客をしてくれている。
近所の人曰く祖父の対応はすごく丁寧である。それでいて祖父の作る野菜は美味しいと評価が高い。それは一つ一つ我が子のように愛を注いで作っているからだろう。
End
12/14/2024, 8:24:36 AM