《誰にも言えない秘密》
「誰にも言えない秘密って誰にでもあるよね…」
「そうだね、俺も持ってる」
「私も持ってるけど今日あなたに言っちゃおうかな…」
私と彼は同棲してだいぶ長い。だから…秘密ぐらい言っちゃってもいいかなとふと思ったのだ。
「ということは俺、結構信頼されてる?」
「まぁ…ね」
「んで秘密って?」
私はポケットにあるモノを入れて彼のそばに近寄る。
そして、秘密を語る。
「私ね、誰とも付き合ったことないって言ったよね?」
『それ、嘘なの。』
「え?でもなんで隠す必要が…?」
「隠す必要は…分からない。でも私、別れたらその記憶を抹消しようとするから。それで…あなたに秘密を話したのはね…」
「うん…?」
「あなたと別れたいからなの」
「え…?急に?俺たちまあまあ上手くやれてたんじゃないの…?」
「まぁ…そうなんだけど…」
私は彼との距離を一気に詰め、ポケットのソレを彼の胸元に突き立てた。
「ごふっ…は…?どういうことだよ…?」
彼の胸から血が四散する。座っていたソファーが気色の悪い赤色に染まる。
「これで私は『誰とも付き合ったことはない』状態…」
彼の顔は真っ青で息絶える直前だ。誰にも言えない秘密。実際は「これ」だ。
『愛を注ぎ続けて自分の手でそれを一気に破壊する。』
私はこんな異常行動に興奮と生きがいを感じていた。
なんて歪んだ愛なのだろう。
「ふふっ…ありがとね、もう何人か忘れたけど」
「私のおもちゃ♡」
6/5/2024, 11:41:55 AM