あの日、私はバスの事故で死んだ──と思う。
でも私は今電車に乗っている。
私は生きているのかな?
隣では、親友がすぅすぅと小さな寝息をかいている。
ひーちゃんは乗り物酔いしやすいから、寝るんだよね。
あのバスに乗っていた時も、そうだった。
ひーちゃんが、目を覚ました。
ひーちゃんは辺りをきょろきょろ見渡し、私と目が合う。
ひーちゃんに、腕を強く掴まれる。 痛い。
そのまま、引きずられて、ひーちゃんが移動中の電車のドアをこじ開ける。
だめだ。開けてはいけない。出てはいけない。
強い思いが私を急かす。でもひーちゃんの力に逆らえず、私は電車から放り投げられた。
目覚めると、白い天井。
全身が、ずきずきと痛む。
ひーちゃんは、終点まで行けたのかな。
題_13_終点
8/10/2024, 1:29:11 PM