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赤く灯った信号に、ふと。
喉の渇きを思い出す。

止めた足をくるりと返して、
一歩、二歩。
道沿いの旗が目に入る。

ソフトクリーム買ってもいい───?

そんな声が聞こえた気がして、
気づけば僕はレジにいた。

「ソフトクリーム…コーンのやつで…」

笑顔のまぶしい店員さんから、
雪のすべり台みたいなアイスをもらって。
歩きながら、口に含む。

「甘いね…」

頬がほころぶ。

誰に見せるわけでもないのに、
おいしさよりも、先に『笑顔』が来る。

あぁ、まったく───。
見つめられたら、食べづらいじゃないか。


3/28/2026, 1:32:15 PM