きらの。

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沈む夕日


この村では昔からの言い伝えにより、今でも生贄という事を続けている。
言い伝えによると、毎年決まった日時に1人若い娘を生贄として神に渡さないと、その日の夜には村が滅ぶというものらしい。
1度どけ、生贄を神に受け渡すところをこっそりと見たことがある。
滝が流れているところに大勢の大人が並び、先頭に立っている白い服を着た生贄がたっている。笛の音が鳴ったと思ったら、生贄の女の人が滝に飛び降りていった。
それを見た瞬間、僕は悟った。
(生贄なんかじゃない。殺されるんだ。)
幼い頃見た光景が走馬灯のように蘇る。
今、僕は今年の生贄として選ばれた幼なじみの手をひき、ひたすら逃げている。
この先、どうなってもいい。ただ彼女さえ救えたら。
「はぁ、はぁ、ここが村の端だ、、。」
彼女はまだ不安げな表情をし、村の方をちらちらと見ている。
「大丈夫。僕が絶対君を守るから。」
そういうと彼女は糸が切れたように泣き始めた。
沈む夕日を見ながら、村へは振り返らず2人歩き始めた。

4/8/2024, 4:15:29 AM