エルフは、長い永い時間を生きる。
エルフ同士の絆ならば、その身で生きる長い時間の中、切れることなくずっと続いている。
だが、異種族間となるとそうはいかない。
最近交流が増えてきた人間なんか、特に酷い。
どれだけ寿命を引き伸ばしたってたったの120年ぽっちだ。エルフの寿命の十分の一程度にしか満たない。
どれだけ想いあったって、どれだけ強く結ばれたって、エルフはその生の残りをずっと寂しく生きていかなければならない。
人間とエルフが交流するようになってから、エルフの自殺率は格段に跳ね上がった。
これまでは穏やかに、長い時を静観しながら静かに暮らしていた種族が、人間達の喧しくも賑やかで活気のある生活に触れ、彼らの時間の中では極短い期間でそれを喪う。
後を追うエルフが、後を絶たなくなった。
それを問題視したエルフ達は、新しく画期的な機械を作った。
人間の記憶を脳から取り出し、元の姿に極限まで寄せた人工義体に移す、いわばアンドロイド。
機械の体を手に入れた想い人達が、末永く一緒にいられるようになった。
エルフの寿命が尽きると、義体の手入れをする者もいなくなり、やがては人間の意識も永遠にスリープモードに入る。
誰かが取り残されることも、無くなった。
それから人間とエルフの交流はますます勢いを増し、今では人間とエルフのハーフらしい子どもたちだって珍しくなくなった。
純粋な人間、純粋なエルフ、アンドロイドに、ハーフエルフ。
実に多様で、愛の結晶たる街は、今日もエルフの静かさを湛えつつ人間らしいどよめきを含んでいる。
長命故にその数は少ないエルフは、人間達と交わっても暴発的に数が増えることは無かった。
ハーフエルフの純粋は、人間とエルフの丁度真ん中の辺り。
人間にしては長すぎる、エルフにしては短すぎる寿命。
どこかおかしくて、けれど愛おしい、彼らの営みは、小さな島の中で今日もひっそり広がっている。
明日も、明後日も、百年後も、千年後も。
例えこの星が滅んだって、ずっとずっと、彼らは寄り添い続けるだろう。
テーマ:これからも、ずっと
4/9/2026, 8:39:26 AM