ストック1

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異界の敵によって世界は危機に陥っていた
私たちはその敵に対抗できる数少ない存在で、仲間たちとともに敵と戦う決意をした
長く激しい戦いの末、私たちは敵を打ち倒す
世界は救われたのだ
ただ、世界を救った代わりに、仲間たちの肉体は限界を超え、今、滅びへと向かっている
もう、どうすることもできない
私は仲間たちを守れなかった
けど、みんなの魂は別の世界へ送る
私の最後の能力で、安らげる平行世界へみんなを届ける
記憶は失うことになるけど、みんななら大丈夫
みんなの魂のつながりは強いから、必ず集まって、また仲間として絆を結べるよ
私もみんなと一緒に行きたいけど、私は私の魂を運べない
私の分まで、みんな幸せになって
最後の魂を見送った
みんな、さようなら
もう一度みんなと、あなたと、笑い合いたかったな



ここはどこだろう
いや、覚えがある
世界の意思を名乗る存在から、異界の敵に対抗する力を授かった場所だ
私は死んでしまったのかな
頭の中に声が響く

あなたたちは世界のために命を賭して戦ってくれた
世界はあなたたちに深く感謝しています
あなたたちの力と心、そして絆によって、この世界は滅びから救われました
私は世界の人々の、意識の集合体のようなもの
正確には違いますが、そう言っておきます
人の感覚では理解が難しいのです
あなたたちに救われた世界の人々の、あなたたちへの深い感謝が私に奇跡の力を与えました
その力で、あなたの魂を、仲間たちの世界へ送ります
そこで、今度こそ仲間たちと幸せに

私は心の底から驚いた
本当に?
本当に私は、みんなのもとへ行けるの?

はい
ただし、あなただけは、記憶を保ったままです
この世界での思い出は、仲間と共有できないでしょう
それでも、仲間のもとへ行きますか?

もちろん
みんなと、絆を結んだ仲間ともう一度笑い合えるなら、みんなのいる世界へ行きたい
思い出は、また作り直せばいいから

わかりました
それでは、あなたの魂を仲間たちの世界へ送ります

私の周りを光が覆う
この世界の記憶を連れて、魂が転生を始めた
たとえ誰も私を覚えていなくても、私はみんなを覚えてる
大好きな親友の、あなたのもとへ
ともに戦った、大切なみんなのもとへ
今、行くよ



私は、こっちの世界で転入した学校で、唯一再会できた親友に連れられて、ある部の部室の前にいた
再会したと言っても、親友に前の記憶はないけど
それでも、この子との日々は充実していた
さて、彼女は私を、自分が入る部に勧誘したいらしく、ここまで連れてきた
この子が面白そうだという部活なら、本当に面白いだろうから、入部してみようと思った
ノックして、部室へ入る
少し緊張しながら部室の中を見た瞬間、心臓がドキンとした
……いる
みんながいる
前の世界で一緒に戦ったみんなが
もう、先にみんな再会できてたんだ
同じ部の部員として
私は足が震えて立てなくなり、その場でうずくまって泣いた
みんなが驚いて私に駆け寄って、色々な言葉をかけてくれるけど、嬉しすぎて頭に入ってこない
また、みんなと笑い合えるのだと強く実感した
これからきっと、戦う前の、あの頃みたいな、楽しい日々が帰ってくるんだ

1/15/2025, 11:33:51 AM