あん

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昔の話だけど、聞いて欲しい。
高校に入って、元々友達って言える存在なんか中学の頃から居なかったけど、ようやく出来たんだ。
そいつはそこら辺に居るようなクズみたいなやつらとは違って。
いつだって誰かを受け止める体制を持ったやつだった。俺は昔、そいつに聞いた事があった。
『泣きたくなる時って、ないのか。』
そしたらあいつは不思議そうな顔をして。
『いや?俺だって人間だもん、そりゃあるよ?』
少し拍子抜けをしてしまって、
『なんだよ〜変な顔すんなよ〜笑』と言われてしまった。悪かったと思ってる。

でも俺、本当は知ってたんだ。解ってたんだよ。
お前が、誰も居ない所でしか泣かない事、泣けない事。意地とか、責任とか、そんなんじゃなくて、もう染み付いてるお前の根本的な所なんだろうな。
だから俺は、お前が泣ける世界が来るまで、このクソみたいな世界で抗おうと思う。
俺ならきっと、またお前に会える気がするから。
お前ならきっと、また笑ってくれるから。

12時の時計が時を告げる。
お前は静かに1000年の眠りについた。
「俺が不老不死だったらな。笑」
そんな本気の願いを笑いながら言うくらいには、お前がいつか目醒めるという事実が、堪らなく嬉しいかったんだろうな。



「 。」
「ん、?あれ、なんでお前、?」
「 笑」
「え〜?笑 」
「 ?」
「まぁ、、、そーだけど、 久しぶり。」
「 。」
「ん。ありがと、笑」 ポタッ






『ちゃんと泣けて。良かったな。』

9/6/2023, 10:15:51 AM