距離
1、「君と僕がいる。」
何も間違っちゃいない。確かに君はいるし、僕もいる。ただ、この文は圧倒的に「足りない」。ここに、距離感を付け足してみる。
2、「君は僕から5cmのところにいる。」
まぁ間違っちゃいない。確かに君と僕の距離はそのくらい近い。さっきよりも想像はしやすい。しかしまだ足りない。心の距離感を付け足す。
3、「君は僕のそばにいる。息遣いすら感じられる距離で、心臓がうるさく揺れる。」
先ほどよりも風情が感じられる。ドキドキしたムードを感じられるのではないだろうか。ここに場所の描写を付け足せば完璧だ。
4、「イルミネーションに染まった街の中。きらびやかなツリーのもとで、君は僕のそばにいる。息遣いすら感じられる距離で、心臓がうるさく揺れる。君の瞳が僕を見つめる。」
クリスマス、恋人、夜、なんて言葉は使っちゃいないが、そんな情景が想像できたのではないだろうか?君と僕がいて、距離が5cmなのに変わりはないが、なんとも想像しやすい文章ができた。
5、「街中で、殺人鬼の君は僕に襲いかかった。体を押さえつけられ、顔が近づく。荒い息が感じられる距離だ。睨みつけられ、突きつけられたナイフが光る。僕の心臓は、恐怖でうるさく揺れる。」
何も間違っちゃいない。言っていることは5つとも全部同じである。同じできごと1つとっても、描写のしかたで変わってくる。これは挿絵のない文章ならではの面白さだと思っている。
12/1/2024, 11:47:35 AM