小絲さなこ

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「貴方は私に呪いをかけた」



どんなに美しく立派な翼を持っていても、飛ぼうという意志がなければ飛ぶことはできない。

だから、僕は君に暗示をかけた。
君のその翼は飛ぶものではなく、僕に見せるための飾りものなのだと。

それだけでは安心できないからと、僕は君を脅した。
空へ憧れを抱かないように。
外の世界は怖いのだと。



貴方が私を他の人の目に触れないようにしていることは、昔から気がついていた。

他の誰かと仲良くしないように。
ふたりだけの世界を作りたいと、私が思うように。

貴方は私に呪いをかけたのだ。
君は飛べない鳥なのだと。

貴方の思い通りになっていく私。

それで良い。

何処にも行かないようにしたい。
他の人の目に触れないようにしたい。

貴方にそう思われることが、どんなに嬉しいか、貴方は知らないでしょう。


呪いなどかけずとも、私は飛べない。

貴方の望みは、私を閉じ込めておくこと。
私はそれに悦びを感じているのだから。



────鳥かご

7/25/2024, 2:06:37 PM