「貴方は私に呪いをかけた」
どんなに美しく立派な翼を持っていても、飛ぼうという意志がなければ飛ぶことはできない。
だから、僕は君に暗示をかけた。
君のその翼は飛ぶものではなく、僕に見せるための飾りものなのだと。
それだけでは安心できないからと、僕は君を脅した。
空へ憧れを抱かないように。
外の世界は怖いのだと。
※
貴方が私を他の人の目に触れないようにしていることは、昔から気がついていた。
他の誰かと仲良くしないように。
ふたりだけの世界を作りたいと、私が思うように。
貴方は私に呪いをかけたのだ。
君は飛べない鳥なのだと。
貴方の思い通りになっていく私。
それで良い。
何処にも行かないようにしたい。
他の人の目に触れないようにしたい。
貴方にそう思われることが、どんなに嬉しいか、貴方は知らないでしょう。
呪いなどかけずとも、私は飛べない。
貴方の望みは、私を閉じ込めておくこと。
私はそれに悦びを感じているのだから。
────鳥かご
7/25/2024, 2:06:37 PM