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 テレビ画面には、四人のおじさんが映っている。ステージの下から青い光に照らされているが、顔のシワは隠せなかった。

 お母さんはリビングのソファに座り込んで、顎に手を添えながら、真剣な表情でおじさんたちを見つめている。

 ボーカルは、細身の体にやや中年の丸みが乗ったシルエット。マイクの前で軽く息を吸うと、かすれた高い声が鳴り響く。顔の表情は真剣そのもので、汗が額をつたっている。

 お母さんは、リモコンをまるでマイクのように握って、一緒に歌い出した。ボーカルと同様に、サビで目をつぶって歌に集中している。



「カッコ良かった?」

 歌唱が終わってもまだ、お母さんは胸に手を当てて、「ふー」と深い息を吐いている。

「カッコ良かった。最高……」
「……でも、ボーカル声出てなかったし、前より太って老けたよね?」
 お母さんはパッと目を開け、背筋を伸ばして私の方を向いた。

「お母さんはね、昔の心の中の風景と、今の演奏を二画面で見てたの。だから、いいの」
「二画面?」
「一緒に歳をとったってこと。同じ時空を生きてくれてありがとう……」
 お母さんは、顔の前で拝むように手を合わせた。中学生の私には、まだピンと来ない。

 けれど、数十年先も、同じ人を同じように好きでいられる。それだけは、ちょっとした希望のような気もした。

8/29/2025, 12:45:07 PM