君に素の自分を見せられたのは、終わった後だけだった。
僕は君に僕のことを好きでいてほしくて、嫌われたくなくて。いつも君の前では、「見せたい自分」を演じてしまっていた。
スフマートで暈された自分を自分でも好きなることは出来なくて、一緒にいる間、ずっと心にはほつれがあった。
君があの晩、ドアを閉めた後から、不思議と心が軽くなって。月明かりに照らされた僕の足元には、久しぶりにハッキリとした影が出来ていた。
最初から正直でいたならば、もっと好きになれたし、好きになってくれたのかも知れない。
7/12/2022, 4:49:24 PM