とある恋人たちの日常。

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 恐れていた日が来ました。
 この都市は、市長が面白い車を発売することがある。
 これがまた、市民のツボを突いてしまうと、みんなこぞって購入する。そうなると個性を出したくて、車の修理……いや、メカニックにカスタムを依頼しに来るのだ。
 
 そう。
 今日はそんな面白い車の発売日。
 
「気合い入れるでー!!」
「「「おーーー!!!」」」
 
 社長の声にみんなが応える。
 
 今日は事前にそうなると予想していたので、素材も多く作ったし、社員も気を使って多く出社してくれていた。
 
 準備万端にしていると、その時はすぐにやってきた。
 
 以前にも経験していたから、まだついていけそう。
 お店が狭いのに、依頼数が凄いことに……。
 
 そうなると、一人が対応を終わらせてたら次の社員が対応する。
 カスタムを見られる場所は決まっているので、見終わったら別の場所に移動して、その間に社員がお客さん希望のカスタムに変更する。
 
 もちろんその間に、普段通りの修理のお客さんも来る。社長はあえて修理メインで全体を見回して指示を出してくれる。
 素材になる材料が足りなくなる前に素材屋さんに連絡をして、社員である私たちの手が止まらないようにしてくれる。
 さすが私たちの社長、敏腕女社長と誇らしく思った。
 
 そんな時、スマホからピコンと通知音が鳴った。
 
「ごめーん、こっちのカスタムやってくれるー?」
「分かりました!」
 
 LINEが来たと思うけれど、お客さんを優先する。
 もしかしたら恋人からの連絡かもしれないけれど、彼ならきっと分かってくれるし、謝ればそれも理解してくれる。そういう人だから。
 
 私は、工具を持って立ち上がる。
 
「いらっしゃいませー! こちらのカスタム、承りますー!」
 
 
 
おわり
 
 
 
百八、開けないLINE

9/1/2024, 12:21:40 PM