望月

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《ずっと隣で》

 確証なんてものを持ち合わせている訳では無い。
 いつ破られるのか、そもそも、破るも何も無いのか。
 それすらも知り得ない事だった。
 けれど、ただ願っていた。
「隣に居させて欲しい。どんな関係だって構わないから。好きだけど、それが恋愛なのか友情なのかは僕にもわからないから」
 まだ十歳で知って、話して、その時は恋に落ちた。
 それから僕はまだ、君を嫌いになる理由を見つけられていない。
 好きなところしか見えない盲目さは、恋や憧れ、推しに対する感情なのだろう。
 それでも、一緒に居て落ち着くだとか、一番楽しい時間をくれるだとかは何処に分類されている感情なのだろうかはわからない。
「好きだから、付き合ってくれ。そう言われたら頷くけど」
 恋人同士の接触がしたいかと聞かれると絶対にそんなことはない。
 自分にコンプレックスがあるのも否定しないから。そういう人が、精神的恋愛思考を持つとも聞く。だからなのかも知れないし、また違うのかも知れないが。
 とにかく、僕は僕を余り好きでないから。
 君と手を握ることすら、まだできない。
 肩のぶつかる距離で、息の掛かる距離で話すことは常にあるのにも関わらず。
「別れたい、って言われても頷くよ。その代わり、しっかり友達に戻ってもらうけど」
 友達になったとて、僕らの距離感は全く変わらない。だから、お互い恋愛感情の『好き』なのかわからなくなるのだろう。
 そして不安が募った僕が、愚かな真似をする。
 そこまでがワンセットなのかも知れないし、そうでないのかも知れない。
 だから。
 いや、だけど。
「一緒に居たい気持ちは同じだよ」
 それの正体なんて、まだわからないけれど。
 ずっと、出会った時から変わらないまま大人へ近付いてきて。
 強く、ふとした時でも、悩んでいる時でも思うのは。
「ずっと隣に居たい」
 君の笑顔が、とか。
 声が、とか。
 匂いが、とか。
 全部ひっくるめて、そうなんだと思う。

 好き。大好き。
 なんて言葉は、僕にとってどれだけの重みなのか。
 それが全く分からなくなった。
 君の隣に居続ければ、いつかはわかるって思ってるんだ。
「だからそれまで、居て欲しい……かな?」
 何を今更、って君は笑ってくれるかな。

3/13/2024, 1:45:40 PM