時間は待ってくれないから、とそいつは笑った。
「だから、今、できる限りのことをしたいの」
まだ、俺たちにできないことは多い。俺たちにさんざん力を貸してくれた一人が消えてからは、なおさら。
だが、それを理由に足を止める気は、そいつにはさらさらないらしい。
背筋を伸ばし、長い黒髪を靡かせ歩くその姿は威風堂々としたものだが――。
「どこに行くつもりだ、そっちは逆のホームだぞ」
「あっ」
全く、俺がいなきゃどう生きてくつもりなんだ、こいつは。
20250519「まって」
5/18/2025, 9:51:02 PM