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暗がりの中で、怖がっているのは誰?
桃の花? くたびれた空想? 子供心?
サーカスのブランコに乗る茶色の曲芸師。赤白の道化は、スポットライトの灯りに照らされて、浮かび上がる、男女の影二つ。赤い鼻、白く塗られた顔。涙を垂らした頬。青白いリボンに命綱も付けず煌めく女の肢体は、するするとリボンを巻き付けながら、器用に昇降する。火の輪くぐりのたてがみのライオンは、もう一匹の雌ライオンと共に、盛大な拍手をうけるように調教されている。そうして、最後に現れた団長は恭しく礼をする。帽子を取った姿は禿頭。赤ら顔の鷲鼻は、盛大な喝采を浴びて。
夜。
暗いお祭り会場にテントを張ったサーカスは、絢爛にお祭りを祝う。
ハロウィンの夜は何か人でないものがやって来る。ジャック・オ・ランタンの顔をした観客が、紛れ込んでいないかい? あっちの男は、幽霊みたいに首が取れてやしないかい? それに、あの子供は奇妙なお面を被っていないかい?
皆、一斉にサーカスが終わると、テントの外へと飛び出した。
ケタケタ笑う、にやけ顔の男。
月に吠える人狼は、おそらく何人か食った後だ。



10/28/2023, 10:34:13 AM