どこにも書けないこと「どこにも書けないことってある?」カタカタと軽やかにキーボードを叩く彼女の指をなぞりながら問う。「そんなの、一番わかってるくせに。」彼女は、長くて白い指を私の顎にすべらせて、その唇を近づける。艶のないそれはサラサラとしていて、彼女を口いっぱいに感じた。彼女のエッセイに書けないのは、この私だけ。
2/7/2024, 11:00:00 AM