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君からのLINE

 うるさく言いたい訳ではないけれど、一言だけでも送って欲しい。落ち着かずに何度も画面を確認するくらいならお風呂に入ればよかったなと昨日と同じ後悔し始めた。
「……はぁ」
体を伸ばしながら視線を上げると短針は下半分を過ぎたくらいだった。自分がこんなに心配性だとは知らなかった。いくつになっても知らないことがあるのね、と暇つぶしに何度開いたかわからないニュース記事を見ながら思った。
 私が同じ年頃にはメールがあった。今より通信制限があったし気軽なものではなかったから似てるとは言えないけれど、だからこそスタンプのひとつでも送って欲しいと思ってしまう。同時にそんなことわかってるけど面倒くさいのよねとあなたの気持ちをわかるフリもしてしまう。
「あー、もうやんなっちゃう!」
いつまでも考えてたらきっと帰ってきた時にやつあたりしてしまう気がして重たい腰を上げようとしたそのとき、この時間だけオンにしてる通知がなった。見慣れたアイコンと「もうすぐ家」とひとこと。座り直しながらこっちにも準備があるんだからもう少し早く連絡しなさいよと心の中で呟いた。だいたいもう着くなら送ってこないでさっさと帰ってきなさい。そんな理不尽なことを思いながら、あなたにおかえりなさいを言うための準備を始めた。

9/16/2023, 5:34:25 AM