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42回紙を折ったなら月に届くという。
でも10回も行かず折れなくなってしまったから
切って重ねていこうとした。
でもあまりに小さな破片になりすぎたから
はじめの紙をとても大きくした。
折って折って折って切って切って重ねて重ねて
高く高く高く空に伸ばしたならそうしたなら

「また例の事件ですか」
「しかしガイシャはなんだっていつも」
「こんな紙の山に埋もれてるんですかね」

‹大空›


べー、と古びた音を立てて灯る赤いランプ。
隣の子は静かに眠っている。
振り返る運転手に首を振ると、また車体が動き出す。
流れていく車窓の景色を一つも見ないで
眠る子を可哀想に思う。
「帰りたくない」だなんて、
よりによってこのバスで言ってしまうなんて。

‹ベルの音›

12/21/2024, 1:33:11 PM