—後悔の夜—
漫画を読んでいる手を止め、ふと我に返った。机の片付けをしていたはずなのに、気づけば漫画の世界に入っていた。
「まずい……」
時計を見ると、いつの間にか夜の九時になっている。明日は学年末テストだというのに。
とりあえず、急いで教科書やノート、ワークを机の上に並べる。
「何をすればいいんだ?」
その時、ベッドに置いていたスマホが震えた。友人の田中からの着信だ。
「田中どうした?」
「おっす。勉強進んでるー?」
俺たちは互いに進捗状況を伝え合った。どうやら田中も勉強していないらしい。
「ちょっとゲームしようぜ」田中の悪魔の囁き。
「ちょっとだけな」
俺はその誘いに乗ってしまった。
「やばい、今何時だ?」
心地良い夢の中から目覚め、時計を見た。朝の六時。
俺はゲームの途中で寝落ちしてしまった。
「まぁ、何とかなるか」
謎の余裕が生まれたが、ワークの問題を解いているうちに焦りが出てきた。
できる事なら、時を止めて安心できるまで勉強したい。そう思う程に。
結局、試験結果は完敗。これから補習の嵐が待ち受けているだろう。
だが、一緒にゲームをしていた田中は補習を免れていた。それだけが許せなかった。
お題:時を止めて
11/6/2025, 4:56:50 AM