失敗した。私は死ねなかった。幸いそれを悲しむような親族も友人もいなかったため、誰にも迷惑はかからなかった。閉鎖病棟からわずかにのぞく外の景色。あの日から、ずっと雨が降りやまないのだという。空調の整った涼やかな病室のひとつ向こうには、じめじめとした夏の中降り続ける雨空がある。なんだかその場に立てないことが、ひどく虚しく感じるのだった。
5/26/2023, 8:42:45 AM