仲間になれなくて
そんなに面白い話でもないのだけれど、このお題を見てふと思い出したことがあるので書いてみようと思う。
子供の――ここで言う「子供」というのは未就学児から小学1年生くらいまでを指すが――あの頃出されていた問題で、よく「仲間はずれを見つけましょう」というのがあった。例えば花のイラストが並んでいて、あるものは花弁が丸く、あるものは細長い。またあるものは葉がギザギザしており、あるものは滑らかな葉を持っている。これらの特徴から自分なりのルールを設け、その枠から外れるものを答えましょうという問題だ。
ルールの作り方は複数ある。花弁や葉の形に着目してもいい。色に着目してもいいし、大きさに着目してもいい。私はこれを全部洗い出すのが好きだった。あらゆるグループ分けを考えて、仲間はずれになる個体をその都度見つけていく。
すると、問題にもよるけれど、どうしても誰とも仲間になれないヤツが現れてくる。反対にどうしても仲間はずれにできないものもいる。
仲間になれない個体は周囲とまったく違う見た目なのかと言われると、そうではない。ただカテゴライズを行うと多数対一になってしまう。当時の私は彼を仲間に入れてあげようと問題文と睨めっこしていたものだ。
……あぁ、お題から少しズレてしまったかな。特段オチはない。成長するにつれてあの手の問題にも飽きてろくに向き合わなくなった。仲間になれなくて毎回解答欄に名前を書かれていたあの子は……と、締めの言葉でも考えようと思ったけれど、案外毎回特別な存在になれて嬉しかったのかもしれない。
9/9/2025, 4:37:42 AM