「待って外明るくなってる!」
ㅤ間の空いた受け答えをしていた君が、急にはっきり喋りだして驚いた。言われて窓の方を向くと、カーテンの隙間から微かに光が漏れている。ちっとも気づかなかった。
ㅤだれかと喋っている間に夜が明けたなんて、初めてだ。なんか嬉しい。
ㅤ深夜ノリの妙なテンションですっかり眠気がさめてしまったのだが。
「そんなこと言って。忘れてるでしょ?」
「へ?」
ㅤ隣の顔が悪戯っぽく歪む。
「あんたのクラスの一限、田中だよ」
ㅤ出欠確認代わりにミニレポートを書かせる教授だ。マジかよ、よりによって!!
「あー……寝るわ」
ㅤ違うゼミなのになんでそんなに詳しいんだろうと思いながらも、鮮やかになる夜明けの光と共に、私は勢いよく床に突っ伏し、薄くなる意識に身を任せたのだった。
『夜が明けた。』
4/29/2025, 9:59:40 AM