二人だけの秘密
ー数十年前ー
「ねぇ!約束しよ?」
『ん?何の約束?』
「将来私の事忘れないでね…」
『ん?いいよ』
「約束だよ…絶対忘れないでね…」
「ん…もう朝か…起きたくねぇな…」
と言いながら携帯のアラームを止める。
時間を見ると8:00を表示していた。暫く思考停止をしていたが、今日は自分の家に友人が集まる日だった。
「やばい…急いで着替えないと…!」と慌てて着替え朝食を済まし、身支度を整えた。
色々な作業が終わったのと同時に、玄関のチャイムがなった。
慌てて玄関の戸を開けると、見知らぬ女性が立っていた。『あの…×××って人知っていますか?』と自身の名を言っているが、少し怪しいと思い知らないと答えた。すると女性は悲しそうな表情を浮かべて『すみません』と言い帰って行った。
俺はその後ろ姿を呆然と見送った。
俺が突っ立ていると後ろから友人達が「さっきの美人のネーチャン誰だよwもしかして彼女w?」と茶化してきたが、知らんと一喝した。友人達はつまらなそにしていたが、俺は今もずっと考えている。さっきの女性はなんで自分の名を知っていたのかと。
そんな事はどうでも良くなって、友人達を自宅に上げた。
遠くから女性がこちらを見ていたことも知らずに…。
「やっぱり…覚えてないもんね…」と女性は悲しそうにロケットペンダントの写真を見た。
少し古い写真には、男の子と女の子のツーショットが写っていた。女性はそっと写真を撫でた。
「そうだもんね…だって私は小学生の時に海外に転校して以来、連絡なんて取れなかった。今みたいにスマホと持ってなかったから、手紙も何日後とかのが届くからいつの間にか辞めちゃった。」
女性は涙を流しながら、昔転校する前に男の子と一緒にタイムカプセルを埋めた公園に向かい地面を掘り返して、タイムカプセルを開いた。
「懐かしいな…
“二人だけの秘密”って言って埋めたよね…」
女性はその場に踞り、声を殺して泣いた。
5/3/2024, 11:24:05 AM