「何でもないフリ」
「ニンゲンしゃん!たいへん!」……なになに……今度は……朝6時15分……。もうちょっとだけ寝かせてほしい……。
「な、にー……?」「たいへんたいへん!」
「おてがみがなくなってるのー!」「手紙……?」「ん!おてがみ、ないのー!」……あ、あぁ、そういえばこのおちび、前に手紙書いてたっけ。「しゃんたしゃんのおてがみー!どこー?」
そう、純粋なこの子はサンタさんを信じている。良い子にしていたらプレゼントが貰えると信じて、サンタクロースに手紙を書いたんだ。
そして、その手紙がなくなっている……らしい。
「サンタさんが来たんじゃないのか?」「えっ、ほんとー?!……でも、ボクしゃんたしゃんみてないよー?」
さて、手紙はどこにいったんだろうなー。
「ちゃんとおとどけものちないと、しゃんたしゃんにおてがみあげられないのー。」
……ふふっ。
「ニンゲンしゃん!」「……!」「なんでわらうのー!」ほっぺたをぷくぷくさせて怒っている。ごめんごめん。
……何でもないフリするのが難しくて。
まず、小さい子どもならではの純粋さに微笑ましくなった。それから、この子の真剣に狼狽える様子も可愛くて。あと、「サンタに手紙を渡した」のが……自分だから。
……つい笑みを浮かべてしまった。
「もしかしたら、おちびの弟が何か知ってるかもしれないよ?」「そかー!ニンゲンしゃん、ありがとー!⬛︎⬛︎ちゃんにきいてみるねー!」
元気に去っていった……。
「⬛︎⬛︎ちゃん!しゃんたしゃんのおてがみ、ちってるー?」
「おはよう!あぁ、アレならサンタさんに渡しておいたよ。忙しいみたいですぐに行っちゃったが、しっかり渡せたはずだ!」
「そかー!ありがと!」
……我が兄ながらかわいいね!
ボクも何でもないフリをするのが大変だよ!
……楽しみに待っていてね!
12/12/2024, 4:09:49 AM