未知亜

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 駅前広場に作られたマーケットの床は金属製で、下から照らす光がモザイク格子の隙間へと漏れている。
 歩くに連れ手前から奥へと順に移動するように見える光を、君は笑顔で見下ろして歩いた。ギシギシと不穏に鳴る床を少しも気にすることなく。
 人工スノー、輝くイルミネーション。こどもの声も行き過ぎる繋がれた手も、私がクリスマスに願うのはあなただけという定番のラブソングも、こんなにも美しいのに。
 いつか鳴り響く鐘の音を僕はずっと恐れている。続けばいいと夢見る時間の中で僕だけ切り取られたように、なぜか胸が痛むんだ。

『スノー』『遠い鐘の音』

12/13/2025, 11:53:23 AM