「この世界はわしが知らんことがよけある。ほんじゃあきに、おまさんと一緒に知りたいんじゃ」
真っ直ぐに見つめられ、指を絡められた。熱く滾る好奇心を包むその目は、夜の闇の中でよく映えていた。
「……うん」
私もこの世界のことを知らない。
死んでしまったはずなのに、まだ心臓は鼓動を打ち鳴らし、脳は常に思考を走らせる。
握られた手が温かい。長くて少し硬い指をしている。骨が太くて、武器を扱う人のそれだ。
「わしはおまさんに選ばれて幸せちや。ここじゃない、また別の世界を知ることもできるき」
苦い顔をしているだろう。口元は隠しているが、眉や目に感情が出やすい身では意味を成さない。
それに、私はテラの大地が怖くて仕方ないから。
「大丈夫か?わしがそばにおるき……」
彼の指が、そっと目元を拭う。
いつの間にか泣いていたらしい。
「ありがと」
頬に添えられた手を包み込む。
そこには仄暗い感情はなくて、季節外れな温かみを感じた。
「潰えた夢の続きを」
(※刀剣乱舞×アークナイツ)
2024/01/16
1/16/2024, 10:00:05 AM