菜な子

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好きな人が出来ました。少し遅い、初恋です。
だけれど、どろどろした、初恋です。
親友と、同じ人を好きになってしまったんです。

親友の方が先だったか、私の方が先だったか、よく分かりません。が、これが初恋の私。
そしてこんな話ができる親友は、親友しかいない私。
どうしたら良いんでしょう?

私は、お家で頭を抱えました。
悩んでいる間も、あの人の笑顔が。そのきらきらとした瞳が。私の心を掴んで離さない、その声が。
胸の中でこだまするんです。
それと同時に、親友が親友ではなくなる、悪い想像が、どんどんと膨らんでいくんです。

ほぼ、確実な友情。
初めての、恋。
私はどっちを取れば良いのでしょうか。

私が選んだのは、初めての恋でした。
後悔はしていませんでした。自分の手が、あの人に引っ張られているような気がしたのです。

こっちに行けば、幸せになれる。
そんな根拠の無い自信があったんです。

私は、親友にこの気持ちを伝えなければいけません。

「はぁ!?じゃあ私の幸せはどうでもいいって事!?」

親友は叫びました。
その言葉が、ぐすっと胸に突き刺さりました。
その胸には、あの人と幸せになれるという、自信が溢れていました。

言葉で突き刺された胸から、あの根拠の無い自信がぶわっと溢れ出した気がしました。
親友が教室から出ていった時にはもう、その胸にあの自信は残っていませんでした。

ほぼ確実な友情と、
初めての、恋。

私は後悔しました。

確実な方を取っておくべきだったと。

なんであんな自信を持ってしまったんだろう。付き合える確証なんてどこにもないのに。私は自分の事しか考えていない。


それが人生だだなんて言える余裕は、私にはありませんでした。















「友情」

7/24/2022, 12:43:56 PM