長年放置した虫歯の診察を終えた昼下がり。
口の中では舌が虫歯のギザギザ辺りを
ツンツンしていた。
このやろ。このやろ。何してくれてるんだ。
とそこにいる菌どもを咎めるように。
電気が走った。バチがあたった。
腹いせにツンツンなんてするんじゃなかった。
歯医者によるとこの歯は
抜歯をしなきゃいけないらしい。
2週間後には手術。
気分はガタ落ちである。
私は痛いのが何よりも嫌いだ。
嫌いだからずっと知らないふりしていた。
ちょっとしたチクチクなら大丈夫。
歯を削られるあの感じよりマシ。
そうして日々を過ごしていたら、
ある日突如、巨大な痛みが姿を現したのだ。
もう耐えられず最寄りの歯科を訪れたのが今日だ。
あの歯医者はヤブ医者ではなかったろうか。
だって、彼ときたら開口1秒も経たないうちに
「あ〜、これは抜歯だね」
なんて言い放ちやがったのだ。
そんな簡単に診断しないでおくれ。
なによりも恐れていた抜歯を突きつけられた瞬間だった。
悪いのは自分だとわかっていたが、
間違いであって欲しかった。
だが、たとえ間違いだったとしても
このズキズキした痛みは続く。
今日はひとまずオロオロと帰ることにした。
4/22/2023, 11:40:54 AM