ああ、薄情者
千切れた糸を手繰り寄せ
結んで開いて繋ぎ合わせた絆なのに
勝手に芽吹き、出ずる日蕾む花となり
咲いた季節を知らせもしない、なんて
恩知らず
玉響の囀りがあまりに愛らしいから
願いを聞いてやったのに
重なる掌と薄紅の頬に祝福を
どこへでも、どこまででも行ってしまえ
見慣れた顔に、見慣れぬ猫背
浮かべた三日月、虚ろな瞳
宵を渡らず、鏡は満たず
やれやれ、振り子の真似事と思いきや
珍妙な客を連れている
下手な芝居にも飽いた頃、小指で払えば囂々、絶叫
永く在っても嫌いは嫌い
恥じて帰せよ、招かれざる者
わざわざ曲げる骨などなかろうに
浮き立つ足で颯の如く、去ってしまえ
微睡みの戸を叩く、まるで咆哮
見下ろす旋毛は蒲公英
付き合いの長い石畳が拗ねている
時を経ても尚、堅牢が過ぎる頑固者
根を下ろすには硬かろう
瞬く逢瀬は手牡丹のように
幼少の砌、書き殴った与太と忘れよ
この手は母に非ず、父に非ず
まして恋ふらく月でもなく
昼想夜夢に耽る酔狂と思え
羽ばたいたなら戸を閉じて、幸多からんことを祈るのみ
海も山も越えて行け、誰も知らぬ頂まで
縁を辿り訪れたなら
今が最後
自らの足跡をなぞること勿れ
(またね!)
3/31/2025, 11:33:41 AM