人々は空を手に入れるために競うように高い建物を建設していった。人々は高い場所からでしか空を見ることができなくなった。空を見る事は富と権力の象徴となった。
私のような庶民は、ほとんど空を見る事ができない。頭上を見上げてもビルの隙間から僅かに空が覗く程度である。
陽の光が射すこともなく、辺りは一日中薄暗い。
太陽の光が届かない事が人々の肉体と精神を病んでいった。
そのため、階下で暮らす者たちはサンライトランプという人口の光を浴びる。しかし、それを浴びる時間も場所も制限されており快適であるとは言いがたった。
『大空』それを見たのは図書館で見つけた写真集だった。数十年程前に出版されたその書籍には、真っ青な空の下に広がる
私はこの街を出ることにした。
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お題:大空
12/22/2024, 5:42:48 AM