ただ君さえいれば

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記憶の海

消せたらいいのに
そう願う記憶は
心と体にこびりつく

心地い記憶より
比重が大きい黒い記憶は
どうやってもまとわりつく

まるで
重油がのしかかった海のように
黒く重たい鉛が
油まみれになった私の足にまとわりつく


それでも
私は生きている


生き残った意味を
ぼんやり考えながえら
過ごす日々


それでも
私は生きている


あれから30年
私の海には太陽がうつり
透き通った海の夜には
星が降りそそぐ


それは
誰かが魔法をかけたんじゃない
神様の吐息で変わったんじゃない


私がただ前を向いただけ
ペン先でビリビリに破れたノート
泣きながら書きなぐる
何度も何度も刺し
力のままに
文字にならない文字を
ぶつける


そうやって
前を向いた
ひとりで
立ち上がった


でもね
それは間違ってる
それは強さとは言わない

怖い
悲しい
辛い
苦しい

その全部を
聞いてもらえばよかった

泣きながら
寄りかかればよかった
立ち上がる時に
誰かの肩を素直に借りればよかった


本当の強さとは
弱さを出せること


そうやって
自分を抱きしめる

私はそういう人間でいたい

5/13/2025, 2:00:58 PM