「眠れないほど、うるさい、忙しい、蒸し暑い、散らかっている、嬉しい、気になる。
まぁ、感情や状況は、多々豊富っちゃ豊富よな」
去年は「眠れないほど大量の仕事を押し付けられた」っていうネタを書いた。
某所在住物書きは天気予報を確認しつつ、これから訪れるであろう「眠れないほどの寒さ」を想像して、温かいコーヒーをあおった。
極寒の北海道、道北地方などからすれば、物書きの居住地域は南国に等しいと思われた。
とはいえ寒いのは寒いのだ。仕方無い。
「こういうときは、いっそ、温めた酒……」
物書きが呟いた。 眠れないほど酒を浴びるのは、健康上、そして睡眠の質からも、推奨できない。
――――――
最近最近のおはなしです。都内某所のおはなしです。某稲荷神社敷地内の一軒家に、人に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が、家族で仲良く暮らしており、
そのうち末っ子の子狐は、善き化け狐、偉大な御狐となるべく、絶賛修行中。
通称ミカンのおばちゃんと、タバコのオッサンの、
片方はミカンをくれるコタツ在住のコタツムリ、
もう片方は子狐とよくよく遊んでくれるオッサン、
ともかく、おとなの友達も最近できまして、
双方、同じ大きな大きな職場に勤めておりました。
ミカンのおばちゃんのコタツには、不思議なミカン製造機が完備されております。
タバコのオッサンは「こら子狐!あれほど勝手に入ってくるなと言っているだろう!」なんて言って、子狐と追いかけっこしてくれます。
どちらもコンコン子狐の、大好きな大好きなお友達ですが、どうやらタバコのオッサンの方が、最近お仕事中にケガをしてしまった様子。
原因は過去作、12月3日投稿分あたりに埋もれていると思いますが、ぶっちゃけスワイプが面倒。
細かいことは、気にしない、気にしない。
「おばちゃん!ミカンのおばちゃん!」
コンコン子狐、タバコのオッサンが遊んでくれないと思われるので、オッサンじゃなくておばちゃんの方へ、とってって、ちってって。
「おばちゃん、ミカン、ちょーだい!」
尻尾ぶんぶん振りながら、おばちゃんが居るであろう経理部のコタツへ、突撃します。
「おばちゃん、」
オッサンが寝てる医療のフロアから、おばちゃんがいる経理部へ、コンコン子狐が到着しますと、
「おばちゃん?」
ぽかぽか、陽だまりの当たるコタツにもぐって、若い女性がぐーぐーすぴぃ。 そうです。このお姉さんこそ、「ミカンのおばちゃん」なのです。
おなかの上に陣取っても、髪をかじかじしても、おばちゃんはぐーぐーすぴぃ、ぐーぐーすぴぃ。
「朝からお仕事して、疲れちゃったのよ」
おばちゃんと一緒にコタツに入っていたおばあさんが、優しい声で言いました。
「何したって、きっと、起きないわ」
で、ここでお題回収。
ミカンのおばちゃんに起きてほしくて、おばちゃんのおなかを掘り掘りしていたコンコン子狐、
コタツの上に、1リットル程度の保温瓶があるのを見つけました。 お茶が入っているのでしょう。
「なんの、おちゃだろう?」
コンコン子狐、保温瓶の中が、見たくなりました。
コンコン子狐、保温瓶の注ぎ口を、えい、えい!頑張って回して開けようとしました……
ところで保温瓶、メーカーや品物によっては、
100℃の熱湯を注いですぐ密封などすると、中の空気の体積が変化して、フタを開けるとき、バチクソ大きな音がしたりしますよね?
そう、まさに、「眠れないほど」。
ポンッ!!!
「ぎゃー!! なんだ!どうした!敵襲か!?」
寝ていられないほどの「体積変化の爆発音」が、ミカンのおばちゃんを一気に覚醒させました。
コタツの上の保温瓶の、フタがクッと動いた途端、
保温瓶の中の空気に耐えられなくなったフタが、ポン!大音量とともに吹っ飛んだのです。
一瞬で飛び起きたミカンのおばちゃんと、大音量をたてて吹っ飛んだフタに、子狐自身もびっくり!
狐尻尾を完全に足の間に丸めて引き込んでしまって、安心できるおばあちゃんの懐に、一直線!
逃げ込んでプルプル震えています。
「こら、子狐!」
保温瓶の轟音を、どうやって聞きつけたのか、病衣のタバコのオッサンが、脇腹押さえて、
「おまえ、また勝手に、」
痛そうな顔で子狐捕獲にすっ飛んで来たのですが、
「……おい、なんだ。どうした……?」
経理部のコタツは、フタを吹っ飛ばした保温瓶と、その音に飛び起きてテンパっている女性と、
その様子を見てツボって笑ってるおばあさんの胸の中で小ちゃくなってビクビクしてる子狐という、
カオスでシュールな光景が、広がっておったとさ。
12/6/2024, 5:35:43 AM