君の目を見つめると
一瞬のことだった。その瞳と目が合ったその一瞬で、体の自由が奪われて、石のように動かなくなった。
呼吸が浅くなり、息が止まるのに、鼓動はその存在を主張するかのように強く鳴り響く。
美しい人だった。艶やかな長い髪をなびかせ、日に焼けていない白い柔肌が太陽の光を反射するように眩しくて。歳を取ることを忘れたような若々しさがあるのに、その憂い帯びた横顔はどこか大人びていた。
もう一度目が合って、ようやく息を吸い込む。固まっていた体が動き出して、風に押されるように近づく。
その人はしぃー、と唇に指をやって、その瞳を隠すように瞼を閉じていた。
「目を合わせてはいけません」
まるでおとぎ話に出てくるような人を石に変えてしまう存在のように、いたずらっぽく笑っていた。
4/6/2023, 2:26:39 PM