海の底
あー…まただ…誰にも愛される事無く、私は、心無い見ず知らずの人に、海の底へと突き落とされた…泳げない私は、海の奥底へと落ちていく…あー。私は、今日まで、何回転生してきた事か…それでも、まだ“運命“と呼べる人には、出会えず、そして、また心無い見ず知らずの人に、海の底へと突き落とされ、どんどん私は、海の奥底へと沈んでいく…あぁ。もう次こそ終わりだ…そんな時だった。「待って!今行くから!」と何処か聞き覚えのある声が聞こえる…もしや、その声は…「お前を絶対俺は、死なせない!」と、海の底から引き上げられた私…安心感から私は、意識を失った…ようやく地上に上がって、見えた人影は、私が、意識を取り戻した時には、既にいなかった…でも、確かに聞き覚えのある声だった…記憶を辿ると…そうだ!あれは、確かに、幼なじみの斗真の声だった…そっか。今分かった。きっと、私が求めていた“運命の人“は、こんなにも身近にいたんだ…ねぇ。斗真。今愛に行くね。丈の長いロングドレスとハイヒールで、私は、斗真を探して必死に走る。人混みの中私は、探す。「いた!」思わず振り返る斗真は、恥ずかしいのか、私に気付いた途端、走り出す…「ねぇ!待って!待っててば!斗真!」息切れし始めた頃、私は、慣れないハイヒールのせいで、地べたへと転ぶ…「アンヌ!」と思わず駆け寄る斗真…「やっと見つけた…私の“運命の人“…ねぇ。斗真。いつも私を影で支えてくれてありがとう。姿も見せないから毎日誰か気になって、気が気じゃなかったわ…急で悪いけど…私と結婚して欲しいの…貴方がいれば、私は…」と言うと、斗真は、沢山の人がいる中で、不意に私の唇にキスをする…「え?」と戸惑う私…そして、斗真は、真っ赤に染まった照れ顔をしながら、「ばーか。プロポーズは、普通男がするもんだろ!何の為に、俺が影で支えて来たか…良いか?アンヌ。たった一度しか言わないからよく聞け。俺は、ずっとお前が好きだった。だから、いつかは、お前と結婚したいと思っていた。だが、お前は、いつも危なっかしくて、影から支える事で精一杯だった…なぁ。アンヌ。俺と結婚しよう!」と私の前で立膝を付き、斗真は、手元にいつ買ったのか想像の付かない結婚指輪を差し出した。すると、周りの誰もが、微笑ましくこちらを見て来た。「はい!もちろん!喜んで!」と。
ーそして私達は、人前で愛を誓い、その場で結ばれたー
1/20/2024, 11:21:20 AM